(惜別)犬丸一郎さん 元帝国ホテル社長 3月3日死去、93歳
「今夜犬丸さんが来るわよ」
東京・銀座、並木通りにあるバーのママから夕方、電話が入る。偶然のふりをして店へ。スコッチのハイボールをたしなむ犬丸さんの隣に座り、話に耳を傾ける。約10年前のことだ。
敗戦直後から25年にわたり帝国ホテル社長だった犬丸徹三氏の長男。1949年に入社し、86~97年に社長を務めた。91年からは日本ホテル協会会長を務め、99年に帝国ホテル顧問を退任した。
バーはさながら昭和の銀座史を学ぶ学校だった。慶応大生のころ、占領下の銀座にあったダンスホールにバンドマンとして出入り。留学した米国で、サンフランシスコ講和条約(1951年)の日本全権団一行を世話した際、吉田茂首相の懐刀と言われた全権団顧問の白洲次郎氏から声をかけられ面識を得た。
白洲氏の話になると冗舌だった…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル